2007年8月31日     
前畑 典子





2007826日から29日まで3日間をかけて、i-Gamiのふるさと、カナダのトロントを訪ねました。

トロントは人口250万人の大都市。
大きなコンドミニアムがどんどん建築されていて、急成長している街だと感じます。それでも、緑が豊かで、湖もあり、大都会と感じさせない、ゆったりとした時が流れているようです。市街地でも、木陰をリスが走っていたりします。



今年の夏、オンタリオ州立サイエンス・センターという科学館で、
i-Gamiの展示をしていました。ギフトショップでは、i-Gami体験コーナーにこども達が集まり、大いに遊んでいました。

右の写真は、左からアイガミの作者ボアーズ氏、弊社会長、プラスチック・プレイ社のジェリー・パスコ社長。




左の写真は、トロントのサイエンス・センターのショップに並ぶ
i-Gamiの前で、i-Gamiの作者ボアーズ・アクセルラッド氏と。今年の夏発売したアイガミは、トロント市内で約1000個販売したそうです。


トロントから車で30分ほど東に行ったピカリングという町に、
i-Gamiのメーカー、プラスチック・プレイ社はありました。
事務所は、アイガミの作品でいっぱい。

左の写真は、i-Gamiで作ったアイガミという文字。何でも出来るんですね。秋からは、新しい54ピースの製品や、200ピースの新製品が出ます。どの製品も、作品例が示してあり、その作品が作れるピースのキットになっています。

トロントのおもちゃ屋さんでも、i-Gamiを扱っていました。
Mastermind Toysという、知育玩具の専門店があります。トロント市内に10店舗ほどあるそうですが、ヤング・ストリート店を見学してきました。一番大きくて、品揃えが良い店舗だそうです。ちなみに、プラントイのカナダ・ディストリビューターのヘンリーさんからも、この店には行くようにというアドバイスをいただいていました。プラントイも、たくさん置いてありました。
店舗は、黄色をベースとしたカラフルな外装。広い店内に、カテゴリー別の表示があって、絵本や、約
20分野の知育玩具がきちんと並べてありました。店員さんは、皆、経験豊かな中年の女性達です。品物を見ていると、やさしく声をかけてくれます。


今、カナダのこども達の間では、ぬいぐるみを買って、ネット上でそれを育てるというのがとても流行っているのだそうです。このお店の入り口のドアにも、そのサイトの宣伝ポスターが貼ってありました。たまごっちみたいな感覚でしょうか。それとも、ペットを飼いたいけれど、色々な事情で本物を飼えないこども達が意外と多いのでしょうか。ぬいぐるみには、しろくまやハスキーのぬいぐるみが多かったです。さすが、北の国ですね。



宿泊したダウンタウンのホテルはトロント大学や繁華街にも歩いていける、とても便利なところでした。

近くに、
ROM(ロイヤル・オンタリオ・ミュージアム)という博物館もありました。そこは、1914年に開館して以来増改築を繰り返し、200763日に27千万ドルかけた大変近代的な新館が完成したばかりです。


古い建物を突き破って出てきたようなこの新しい部分は、マイケル・リー・チン・クリスタルと呼ばれています。古い時代から新しい世紀への転換を象徴するような建物です。


3千万ドルの私財をこのルネサンスROMのプロジェクトに投じたという、マイケル・リー・チン氏は、ジャマイカ系中国人の移民で、「ROMは、私と私の家族にカナダが与えてくれた機会という恩恵にお礼をする場を提供してくれた。世界中の様々な文化的背景を持ち、これからカナダを背負っていく若い人たちが、このROMから色々な触発を受け、それぞれのコミュニティのリーダーとなってくれることを期待する。」と語ったそうです。

カナダは、私達が想像する以上に、多種多様な文化のるつぼです。多くの移民を受け入れ、他民族、多様な文化で発展してきた国です。異民族を受け入れるおおらかさが、きっとこれからもこの国を大いに発展させていくことでしょう。


どちらかというと、伝統的な建造物の多いトロント市内で、翼を広げたような
ROMのクリスタル棟は異彩を放っています。建築設計は、ダニエル・リベスキンド氏。

脱構造主義の先鋭的な建築理論家として有名で、2001年には、ベルリンのユダヤ博物館で実際の作品デビューした建築家です。この新館は、「21世紀、未来のトロント文化を象徴するような建物」とROMのホームページには書かれています。この建物やROMについて、詳しくはこちらをご覧ください。


移民といえば、私事で恐縮ですが、今回のトロント訪問にはサプライズがありました。

カナダに到着した日曜日、アメリカの大学で共に学んだイレーヌという友人と会う約束をしていましたが、その際、彼女と同じように香港からカナダに移住した彼女のお兄さん夫婦、トニーとエリザベスが同席したのです。イレーヌには、何回か会う機会がありましたが、トニー達と会うのは何と
30年ぶりでした。すっかり貫禄が出て落ち着いたトニーとエリザベス夫妻を、若き日の二人に重ねるのには少し時間が掛かりました。


東京で出会った時二人はまだ新婚で、トニーは香港で数学の教師、エリザベスは福祉施設でアルコール中毒者のリハビリを指導していました。
香港から新しい生活の場として選んだカナダに行く途中、日本に立ち寄ったのです。おぼろげな記憶を辿ると、当時見知らぬ土地に渡っていく若い二人の不安そうな表情が浮かんできました。「カナダは、大丈夫だよね」と何度も私に聞くトニーを、何も分からないながら励ましたことを思い出しました。
それから30余年。トニー達はこのカナダに定住し、トニーは金物屋を経営し、エリザベスは銀行に勤めて、ファンドマネージャーを勤め上げ、2人の息子さんは立派に成長しました。カナダという国の、移民に対する懐の広さを改めて感じたことでした。
左から、再会を喜んだトニー、エリザベス、私とイレーヌ。





トロントといえば、ナイアガラの滝。トロントに来たら、ナイアガラは見なければという、プラスチック・プレイ社社長の提案で、2日目のミーティングはナイアガラへのロードミーティングとなりました。トロントの町から車で一時間程、ちょうどオンタリオ湖の対岸まで走ります。


世界中の人が集まるナイアガラの滝、私は初めて訪れましたが、豊かな水のエネルギーに圧倒されました。轟音とともに流れ落ちる滝、溢れそうな水面。世界の湖水の
3分の一が五大湖に集まっているほどの水量だそうです。Maid of Mistに乗って、滝つぼの近くまで行きました。





トロント在住のジェリーとボアーズも、滝つぼまでおりたのは初めてだそうです。
滝を見つめるアイガミの作者、ボアーズ氏。

折からの快晴に恵まれ、滝には、大小の虹がかかりました。今回の旅は、本当に豊かな出会いの機会を与えてくれたような気がします。拙い句ですが、2句よみました。

             滝廻り、めぐりあひの豊かなり

             あいがみの虹のかけはし今日の縁




折り紙という日本の文化は、奥の深い、世界に誇るべき文化です。私達は、それを本当に大切にしていきたいです。そして、
30年前にこの折り紙に啓発された一人の外国の子どもがずっとあたためていたコンセプトから、折り紙のこどもが生まれたのです。

東と西、西と東、i-Gamiが、新・旧、東西の文化の架け橋となって、また新しい文化を生んでくれたら、本当に嬉しいです。私達は、この折紙のこども、i-Gamiの日本の総代理店として、アイガミのコンセプトを日本に広めていきたいと思います。

下の作品は、ボアーズ氏のアイガミで作った「おりづる」です。未来に羽ばたいて欲しいですね。