第60回形の科学会に参加しました
2005年11月5日〜7日 於東洋大学白山キャンパス甫水館
11月5日(土)来日したゾムツール社のポール・ヒルデブラント氏と、姪御さんの、カスリンは、今回初来日。早速会場で、ゾムツールの展示品の作成にかかる。展示した作品は、「希望の星」青と白(特別品)のストラットを使い、「それぞれ直角を成す3つの黄金比長方形が、星状十面体を規定し、隣接する星型の同一セル3角形の間の空間には、規定された最小値の曲面が構築される」というもの。ポールとカスリンは二人で、30分もしないうちに完成させた。ポールの大好きな形だそうだ。展示会場には、形に関する力作が展示され、見ごたえがある。今回初めて、ゾムツールで曲面構成を間近に見たが、「この世の中の、ありとあらゆる形を作ることができる」というゾムツールでは、ゾム作家がドラゴンなどの作品を多く手掛けているという。2006年のブリッジズ会議では、常設用のゾム彫刻が制作されるとのこと。懇親会では、宮崎先生を始め、多くの先生方との交流があり、形という共通の話題をめぐって、大いに話が盛り上がった。形の科学会は、日本学術会議の登録研究団体として、今年で20周年を迎えた。年間3回にも上る学会を開催してきたのは、形と科学への先生方の並々ならぬ熱意とご努力のたまものだと思う。http://wwwsoc.nii.ac.jp/form/

11月6日(日)ポールとカスリン、弊社会長は、岡崎の世界子ども美術博物館でのワークショップ。大勢の子どもたちと、ゾムツールを使った多胞体を完成させた。4次元の立体は、大人にも理解が難しいが、子どもたちにの目にはどのように映ったのだろう。理論は別として、何かすごく大きな、うわーっというものを、皆で作ったな、という印象だったのだろうか。ポールやカスリンを見ていると、ゾムツールが体の一部のように自由に操られ、どんどん変形していくように見える。ポールは、ゾムツールを、空間構造を理解するための新しいツール、または言語、と称しているが、彼らは、「ゾム語ペラペラ」の状態である。こんな風に、自由に空間を構成できたら、楽しいだろうな、と思う。

11月7日(月)ポール・ヒルデブラント氏が、午後2時から発表タイトルは、「ゾム入門 − 空間構造を理解するための新しいツール」 入念に準備して、ゾムツールの基本的理論について話す。会場からは、「小さな子ども向けに、柔らかくて曲がるストラットと、大きなノードがあると嬉しい」というご意見をいただく。ポール氏は、専門家用には、透明、または黒、また短いストラットの開発も考えていると言う。カスリンが、新製品レオナルド・スティックをきれいに組んだ。釘一本使わずにドームが構築できるという構成キットだ。数多くの先生方の発表と、展示が集結した3日間の学会が成功裏に終了した。


形の科学会の大きなニュースが二つ:

『形の科学百貨辞典』形の科学会編 朝倉書店 が第59回毎日出版文化賞受賞!養老孟司先生の推薦の言葉には、「本書は、自然が示すさまざまな形を、科学の面から解析する試みの、現在での集大成である。」とある。先生によれば、「ヒトの脳への入力は、視覚が4割を占めるという。その中でおそらく論理的に脳で構築されるものとして、形はもっとも興味深いものである」ということで、形を科学することは、子どもにも、大人にも、楽しい、興味深いことであることが分る。各分野の専門家が、一般の人にも分りやすい文章でエッセイ風に書いた、各項目を拾い読みできる、百科事典の仕立てになっている。               35000(本体)

イメージミッション木鏡社賞公募!
形の科学会20周年記念として、優れた形の考察、造形、小論文を公募することになりました。詳細は、以下の通りです。

募集:2005年11月〜2006年3月末日
作品:形式は自由、構造が明瞭に分る写真などを送ること
論文:A4原稿5枚程度までの、日本語、または、英語の論考や解題
後援:形の科学会
賞金と副賞:
最優秀賞:一名 賞金5万円、クリエィターキット1
次席:  一名  賞金2万円、エクスプローラーキット1
佳作:  2名   賞金1万円、アドベンチャーキット1
審査:形の科学会選考委員会
形の構成として、よい考察・発想があるものを評価する。
特に、よい論考を伴うものを高く評価する。

送り先:形の科学会20周年記念株式会社イメージミッション木鏡社賞応募係り宛、420-0831静岡市葵区水落町19−8
問合せ:054−200-2818 image@aqua.ocn.ne.jp